マイニングと会計処理について
マイニングとは
マイニング(採掘)とは承認作業を行う行為で、マイニングに成功した人はその報酬として新規に発行される暗号資産を受け取ることができます。
つまり、暗号資産を取得する方法の1つです。
日本円などの法定通貨であれば銀行取引は銀行が承認しますが、中央管理者がいない暗号資産の取引は第三者であるマイナー(=マイニングする人)がその役割を担います。
暗号資産の取引(送付)が行われると、世界中にいるマイナーがそれぞれ自由に取引の確認作業を行います。この確認作業には多くのマイナーが参加しますが、確認作業におけるある計算の結果、正解とされる文字列を最初に見つけたマイナーのみが報酬として当該暗号資産を受け取ることができます。
そのためマイニングは、マイナーによる計算競争と言えます。マイニングに失敗したマイナーの確認作業に関しては、マイニングに成功した確認作業の検証のために使われます。
暗号資産の承認の方式をコンセンサスアルゴリズムと言い、種類は複数ありますがその中でも最もメジャーなのがProof of Workです。Proof of Workは計算競争によって採掘者を決める仕組みであり、ビットコインなど多数の暗号資産で採用されています。
例えばビットコインの場合には、Proof of Workによりトランザクション(支払い元を示すインプットと支払い先を示すアウトプットを中心に構成されている取引の記録)の承認がなされ、ビットコインの台帳に記帳されるという仕組みです。その過程でマイニング業者等による計算処理の競争が行われ、競争に勝った者が報酬としてビットコインを獲得します。
ビットコインなど多くのマイナーが参加している暗号資産のマイニングを成功させるためには、一般的に使うPCでは膨大な計算処理に対応することが難しく、高価な機材を揃えるなど費用が発生します。
実務では、このようなマイニングの性質を考慮して会計処理を行うこととなります。
マイニングにより取得した暗号資産の会計処理
暗号資産をマイニングにより取得した場合、取得した時点(マイニングが完了しウォレットに暗号資産が送金された時点)の当該暗号資産の時価により資産計上します。
また、取得に要した費用については費用発生時に費用計上します。
ウォレットについては暗号資産におけるウォレットとはを参照ください。
仕訳例
(1)事 象
A社(日本法人)は、海外でマイニング事業を行っています。マイニングには費用(人件費、地代、機材に掛かる減価償却費、雑費など)が発生し、現金で支払っています。そしてA社はビットコイン(以下、「BTC」といいます)のマイニングに成功し、2BTC(1BTC=1,000,000円)取得しました。
(2)A社の仕訳例
(借) 暗号資産 2,000,000円 (貸)マイニング収益 2,000,000円
(借) 経費 1,000,000円 (貸)現金 1,000,000円
上記の仕訳は、総額表示で行っています。これは、A社が費用を掛けてもマイニングに失敗し暗号資産を獲得できないリスクがあるからです。ただし、取引の性質等を考慮し、純額表示の方が適切である場合も考えられるので注意が必要です。