投資信託の仕組みと概要
投資信託とは多くの投資家から集めたお金をファンドという形にまとめ、運用のプロであるファンドマネージャーが投資家の代わりに投資・運用を行って利益が出たらその利益を出資額に応じて投資家に分配する金融商品のことです。投資信託で利益が発生した時は基本的に利益に対して20.315%の税金がかかります。
商品ごとに投資対象・投資スタイルが異なり、投資対象は国内外の株式・債権や不動産などさまざまです。運用はファンドマネージャーが行いますので、投資家は専門的な知識や情報がなくても投資額と商品を決めるだけで投資をすることが可能です。
しかし、ハイリスクハイリターン・ミドルリスクミドルリターン・ローリスクローリターンなど投資家の投資方針と合う商品選びを心がける必要があります。
投資信託の仕組み
投資信託には以下の4者が関係します。
受益者 | 販売会社 | 委託者 | 受託者 |
投資家 | 証券会社・銀行 | 投資信託委託会社 | 信託銀行 |
投資信託ではまず投資家たちから元手となる資金を集めます。その役割を担っているのが銀行や証券会社などの販売会社です。販売会社は投資家に投資信託を販売し、投資家は申込金という形で販売会社に資金を預けます。
投資家から集めた資金は、販売会社から資産管理を担う信託銀行に渡り、管理・保管されます。ファンドマネージャーは集まった資金をどこにどのくらい投資するのかを決め信託銀行に指示し、指示を受けた信託銀行が株式や債券の売買を行います。
信託銀行はお金の保管・管理をしているだけであり、その資金の運用権限はあくまで運用会社にあります。そのため信託銀行は運用会社の指示なしに勝手に株式や債券を売買することはできません。
資産運用会社と証券会社の違い
ファンドマネージャーが所属しているのは資産運用会社で、「○○アセットマネジメント」「○○投信投資顧問」などの名前が付いている企業が資産運用会社です。一方、証券会社は投資信託を販売している窓口であり、資産運用会社のように運用を行うわけではありません。
投資信託の売買価格・コスト
投資信託でかかるコストは購入時に基準価額の1~3%程度の販売手数料を販売会社に支払います。基準価格とは投資信託の売買の基準になる価格のことで、ファンド1口あたりの財産的価値を示し、売買のタイミングによって異なります。また、販売手数料がかからないノーロードと呼ばれるファンドもあります。
投資信託を保有している期間は、運用会社・信託銀行・販売会社の手数料に当たる信託報酬(基準価額の0.1~2.5%)を払う必要があります。
解約時には信託財産留保額(基準価額の0.3~0.5%)が徴収されます。
投資信託のメリット・デメリット
投資家が投資信託を買うメリット
・少額から投資が可能
・運用のプロが代わりに運用してくれる
・分散投資でリスクを軽減できる
・個人では投資しにくい国や地域、資産に投資が可能
株式投資の場合は株価の低い会社でも100株購入するために数万円を必要としますが、投資信託の場合は数百円~数千円から投資することが可能です。
また、個別銘柄に投資をする際には対象となる企業の業績や業種、その他にも様々な情報を調べたり投資に関する知識を必要としますが、投資信託はファンドマネージャーが各ファンドの運用方針に沿って投資判断から取引までを代わりに行ってくれることが魅力です。また、運用状況については定期的に発行されるレポートにて把握することが可能です。
多くの投資信託は一つの商品を買えばそれだけで幅広く投資できるような商品になっています。
例えば、アメリカのNASDAQ100指数に連動するような商品を買った場合は、ナスダック市場に上場している時価総額トップ100の銘柄に投資していることになります。個人でこれだけの海外企業に個別で投資をすることは手間がかかりますし管理も大変です。
このように投資信託を利用すれば個人では難しい規模での分散投資や国・地域などへの投資が可能です。
投資家が投資信託を買うデメリット
・コストがかかる
・元本保証がない
コストに関しては上記に記載の通りです。また、投資信託は元本保証がありません。銀行預金であれば銀行に預けたお金が勝手に減ることはありません。しかし投資信託の場合は運用結果次第では投資した資産が減る可能性もあり得ます。
例えば債権型投資信託などであれば、株式型投資信託に比べ元本割れのリスクは低くなります。債権を発行している企業や国が破綻しない限り値動きも比較的安定します。
為替リスク
商品によって、為替ヘッジあり・なしを選択できるものがあります。為替ヘッジとは外貨建て債券や株式等、本来あるべき為替リスクを低減したうえで投資先の利息や値上がり益の獲得を目指す投資方法のことで、為替の影響を避けるのか受けるのかの違いになります。
投資時期によって為替ヘッジが有利に働くケースと不利に働くケースがあるため一概にどちらの方が良いとは言えません。運用期間の長期・短期を問わず海外の資産を組み入れている投資信託であれば為替の影響は少なからず受けてしまいます。