分散型金融(DeFi)の仕組み

分散型金融(DeFi)とは?

DeFiとは、パブリックブロックチェーン上に構築された分散型の金融エコシステムのことを指します。一般的にはイーサリアム上に構築されたプロトコルやアプリ群を意味し、これらは全てスマートコントラクトによって稼働しています。スマートコントラクトについてはこちらのイーサリアムの特徴箇所を参照ください。

DeFiエコシステムでは中央集権的な管理主体の影響が非常に小さく、居住地や経済状況にかかわらず誰でもアクセスすることができます。この点では自国内でしか口座を作成できない既存の金融サービスと一線を画すため、金融のあり方を一変させる可能性があるのではという見方もされています。

既存の金融システムでは、銀行や証券会社、保険会社などが取引者間に立って取引相手の信頼の保証や決められた手続きの遵守を管理することで取引を成立させていました。

一方、DeFiは特定の企業や個人の管理者が存在しておらず、パブリックブロックチェーンを基盤にしているため、人間の代わりにスマートコントラクトがコードに従って契約内容を実行します。そのため集権的組織の影響は及びません。また、管理者を必要としないことで中間マージンや管理費が大きく削減され、取引手数料が安価になります。

既存金融では政府や銀行などの中央組織が恣意的に取引を拒否または無効化することが可能ですが、スマートコントラクトで自動実行されるということはパブリックブロックチェーンの検閲体制を利用できるということなので、取引を止めることは非常に難しいです。

しかし、もし資産を保管しているウォレットの秘密鍵を紛失するとその資産にアクセスできなくなりますし、その場合は誰も当該資産を取り戻すことができないというリスクはあります。

DeFiの特徴

■利用制限と透明性

既存の金融システムは、一定以上の収入や職業・居住地などの条件に合致しない人には利用できないものでした。

しかしDeFiエコシステムは従来の金融サービスのように国や中央銀行といった組織に依存していないため、国籍や居住地に関係なく誰でもDeFiプロダクトにアクセスすることができます。

インターネットにアクセスできる環境されあれば、今まで銀行口座を持つことが出来なかった貧困増や政府の規制によって金融サービスを利用できなかった国の人々も金融サービスの恩恵を受けることができます。

身分証を持たない人たちでもサービスを利用できることから本人確認なしでどのようにマネーロンダリングやテロ資金供与と向き合っていくかという課題はありますが、金融サービスを誰でも受けられる点は既存の金融と大きく異なります。

また、従来の金融サービスではある程度の透明性は確保されていますが、取引や顧客データについてはそのサービスを運営している組織しか見ることができません。しかしDeFiの基盤であるパブリックブロックチェーンでは、どのアドレスからどのアドレスへどの程度の資産が移動したのかなど全てのトランザクションが公開されています。また、トランザクションだけでなく多くのプロダクトでは全てのスマートコントラクトのコードを誰でも簡単に確認できるようになっています。

 

■構成可能性

DeFiエコシステムのメリットのひとつに、構成可能性があります。構成可能性とはあるシステムの各構成要素同士が互いに連携しあって機能することであり、各プロダクトのスマートコントラクト同士を簡単に統合し合うことができます。これにより単一のプロダクトでは不可能に近い多様な機能の提供が可能になりますし、開発コストと時間を節約できることによって効率的に規模を拡大することが可能です。

 

■システムが停止しない

分散型金融はブロックチェーン上のアプリケーション(Dapps)で実現されています。

ブロックチェーンではネットワークに参加するコンピュータに優劣はなく、コンピュータが1台ダウンしても他のコンピュータがすぐに同じ役割を肩代わりできるようになっています。

そのため、何らかの障害で数台のコンピュータがダウンしてもシステムが停止することはありません。

分散型金融の今後とリスク

今後、既存の金融システムに代わる本来の分散型金融のあり方を確実なものにするためには法整備が必要不可欠です。分散型金融はシステムとしては国境がありませんが、実際に利用する人間は居住地区に合わせた法律に従わなければなりません。分散型金融は金融商品を扱うため犯罪に狙われやすく、法律がないと犯罪に使われる可能性が高いです。法整備をすることによって不正を防ぎ公平な取引を行える環境が整います。

リスクとしては、分散型金融に限らず投資はすべて自己責任ですが、特に分散型金融で発行されるトークンは証券会社のように問い合わせ先があるわけではないため、問題が発生した場合はすべて自分で対処しなければなりません。また、分散型金融のサービスの多くは生まれてからまだ数年程度のため、実運用でどの程度問題が出るのか未知数です。どのようなバグや脆弱性が潜んでいるか分からないためこれらによって資産を失うリスクはあります。